横尾忠則現代美術館にて2022年8月6日~12月25日まで開催の、開館10周年記念展『横尾さんのパレット』観覧記録です。
『横尾さんのパレット』
どんな展示?
・横尾氏の約40年の画家活動を振り返る
・作品を色で分類
・展示室をパレットに見立てたインスタレーション
感想
一部写真OKでしたので、写真を載せつつ、感想を書いていきます。
赤エリア
入ってすぐ、赤い壁&絵がどーんと迫ってきます。
すでに不思議な世界で「うおお」となりつつ、「ドリーム・ティー」になんだかほっこりする。
夢の中の光景でしょうか、綱渡りする急須型の狸?(狐?)がなんともかわいい。
こちらは「Y字路」シリーズ。
横尾氏といえば「Y字路」がやはり有名ですが、赤い色調だとまた雰囲気が違うように見えますね。
Y字路の左右で色が異なるのもまたインパクトが大。
本作は『横尾さんのパレット』にて初出品らしいです(美術館のフェイスブックより)。
緑エリア
赤の次は緑エリア。
全体的に少年ぽさのイメージを感じました。
江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズの表紙を思い出すような。
Y字路が海中にあるように見えてとても幻想的。
こちらも「Y字路」シリーズ。左下の女性が効いています。
青にも近い色調なので、ちょっと悲しいような雰囲気があるようなないような。
黄色エリア
ここはちょうど緑エリアとの切替部分ですが、背景と絵がぴったりきています。
つい「正しさ」を見つけようとしてしまう私としては、こういう発想がすばらしいよな、と思います。
Y字路シリーズも。
なるほど、、、こういう描き方もあるのか。
ひとつのモチーフに対していろんなアプローチができるのだなあ、と(私はすぐに飽きてあれこれ手を出す人間なので……見習いたい)。
『昨日 今日 明日』というタイトルも素敵。
突如としてぽっかり現れた”黒い空洞”が実に不気味なような、でも猫もいてかわいいし、と不思議な気持ちになりました。
青エリア
青に黄色が映えていて、なんとなく希望が湧いてくるような心地。
とくに幻想的で好きなのがこちら。
背景の目の覚めるような青がさわやかですね。
ボディが牛で頭が寅の生き物もすごく面白い。年越しを表現しているということもわかりやすいですし。
その一方で、Y字路シリーズはなかなか暗い。
雨の日の、ちょっとおどろおどろしい感じがゾッとします。
ポップなものも、ちょっと怖いものも、両方描けるのがすごい。
黒いエリア
写真では自動修整が効いているので、ぼんやりと見えますが、肉眼ではほとんどよくわからない黒い絵たち。
(むしろ、写真を見ることでやっと、「こういう絵だったんだ」と理解するという……)
しばらくこのエリアにいると、自分の目がきかなくなったような感覚になり、足早に立ち去ってしまいました。
もし私がアーティストだったら「こんな黒い絵、見えないから描いても意味ないや」と思ってしまうので、いかに自分が常識にとらわれまくっているかを実感せざるを得ないです。
パレット(カラフル?)エリア
(パレットエリアと呼んでいいのかわかりませんが、なんとなくそう感じたので)
黒いエリアの先にあるので、急に視界がハッキリしてホッとしました。
横尾氏は、紙皿をパレットとして使い、しかもそれをすぐには捨てないらしく。
来訪者がお土産に持って帰ることもあるのだそうで。
たしかに、パレットが偶然、「すごいいい色合い」になることありますもんね。
でもそれに価値を見出して捨てないのは、やっぱり才能でもあるというか。
他のエリアもそうでしたけど、横尾氏の絵は「黄色」がポイントになっているのだなあ、と思いました。
絵の具も大量。
おわりに
「Y字路」シリーズ、色味でこんなに違う印象になるのか、と驚きました。
私自身は一つのものにすぐ飽きてしまうところがあるので、「一つのモチーフでもこんなに描き分けられるんだな」と。
シュール、不思議系が好きな私には、全体的にとてもとても楽しめました。
(横尾忠則現代美術館の常設展示やカフェについてはこちらで詳しくレポートしています>>>【兵庫】横尾忠則現代美術館 - 不思議・シュール系好きな方にはかなりおすすめ )。
写真OKの作品が多く、後で見返せるのもとても嬉しい(その場で吸収しようとするとヘトヘトになるし、結局覚えていられなかったりするので)。
自由自在に表現できること、憧れますね。